SIRENにおける見解
「SIREN」には様々な謎がちりばめられていて、その真実の解明のためとてつもない議論が起こり、そこからいろんな説が立てられました。ここに挙げられている見解のほとんどは『マニアックス』が発売されたことで(ほぼ)解決されたものですが、以前までどのような議論がなされていたのか知らない人もいるでしょうし、それを知ることも面白いと思われますので、そのための参考にお読み下さい。
◆田掘の廃屋に関する問題◆
田掘の廃屋が誰の家なのか問題になっています。
@竹内家説
「TAKEUCHI」と書かれたメダルが庭に埋められていたことが根拠だが、三日目23:00竹内多聞での竹内家の間取りと廃屋の間取りが違う、廃屋には表札がないが竹内家にはある、そもそも場所がぜんぜん違う、など問題点が多くある。
A神代家説
本編に神代の家が登場しなかったのが根拠か。しかし、村の有力者のわりに家が狭い、『異聞第二話』から想像される家と全く違うなど、これも問題がある。また、神代家は西ヶ原という場所にあるようである。
B前田家説
妙に前田一家があの廃屋に馴染んでいたために出た見解か。
しかし、一日目4:00恩田理沙の最初のムービーから、廃屋は「さっきまでなかった」、つまり2003年にはなかった家ということが推測できるので、この見解には難がある。
C志村家説
志村一家が27年前に住んでいた家ではないかという見解。廃屋が登場人物の中の誰かの家だとしたらこの見解が一番有力。竹内家と親交があったからメダルがあった、また仏壇が針金で縛られていたのは「眞魚教を信仰しないことの表れ」だとするとそれなりに説得力はあるかと思われる。
しかし猟銃をにおわせる物が何もないこと、子供部屋が晃一のものとするには少し難がある。
D吉川家説
吉川菜美子の家だとする。説、というより関係者を友人に持つ方からの情報である。同時に聞いた情報によれば、須田2日目1:00の廃屋の外にいる一風変わった半屍人は吉川菜美子であるらしい。
ただし吉川菜美子は不完全ながらも犬屍人ではないのか、との問題があり、このことをその関係者に尋ねたところ「なぜか答えてくれません」とのこと。菜美子はもともと犬屍人にはなっておらずに、ただの半屍人だった菜美子を見た人が「犬のように見えた」と言っただけと考えれば問題はないかも。
また、アーカイブNo.091を見ると吉川菜美子の家は大字粗戸であると推測されるため、そのことがもうひとつの問題となる。
D誰かよく分からない人の家説(通説)
そこら辺で屍人になっている人の家だという見解。一見めちゃくちゃで逃げにも思える説だが、確証となるものが見つからないために見解が出てくる。
◆宮田と牧野に関する問題◆
まず結論から先に述べると、三日目9:48:21以降の牧野慶は宮田司郎です。
その根拠は、牧野となった宮田(以下、宮田牧野)は虫を払う仕種をする(宮田もこの仕種をする)、叫び声が宮田、持ち物のほとんどが宮田のもの、そしてほくろの位置(宮田と牧野ではほくろの位置が左右逆。頬あたりにうっすらとあります)、それでもって極めつけはディレクター本人が言明していること(『ファミ通PS2』)です。それによると「宮田は牧野への複雑な思いから、最終的に自分が牧野であるという錯覚を持っています」とのこと。以前は、宮田の意識のようなものが牧野に入り込んだのではないかとする宮田・牧野同調説が唱えられていたが、これらのことからこの説を採用する余地はなくなったと言えます。
そこで問題となるのは、宮田は牧野を撃ったのか? という問題です。この問いに対し外山ディレクターは「撃ってはいますが……。その後に関してはそう単純ではないのです」(『同上』)と、どこか含んだ回答をしています。読み方によっては「故意に」撃ったとも、「間違って」撃ったとも考えることができます。そこで以下の見解の対立が起きるわけです。
@宮田が「故意に」牧野を殺したとする説(通説)
自殺したと見せかけて牧野を殺したという考え。銃をこめかみに当てたのは、今までの宮田との決別の意思あらわれであるとします。牧野を殺した理由は、宮田は牧野にコンプレックスを持っていた、牧野の求導服を着ていれば八尾に見つかった時に言い訳ができる、水門を破壊するという大役をヘタレ牧野に任せるわけにはいかない、ということが総合されたものかと思われます。基本的にこれが一番すっきりしていて多数者が支持している説か。
A宮田が「事故で」牧野を殺してしまったとする説
宮田は本当はあの時自殺しようとしていたが、それを止めに入った牧野ともつれ合い、結果的に牧野を殺してしまったとする考え。宮田はその罪悪感から自分が求導師として生きることを誓ったとすると思われます。こめかみに銃を当てておいて、そこから牧野に銃口を向けるという動作が不自然ではないか? という疑問から生まれた説と考えられます。
そして次に問題となるのは牧野は死んだのか? ということです。
@牧野死亡説(通説)
手段はどうであれ、牧野は死亡したとする見解。
生きている意味がない、というのが理由か。
デモムービーなどを素直に見ればこう考えるのが普通か。
この説に対しては「死体を燃やしたとして骨はどうするのか」という批判がありますが、宇理炎で燃やせばいい、埋めればいいなどと反論されている。宇理炎で燃やすには命の代償が必要であるようなので、個人的には埋めたのではないかと思っています。
A牧野生存説
宮田は牧野を殺していなかったとする見解。殺す理由がないというのが論拠か。
これに対しては牧野死亡説から「宮田は牧野にコンプレックスを抱いていた。だから殺したんだ」などの反論があります。また、牧野を殺していないとすると、宮田が牧野の服を剥ぎ取るという地獄絵図的光景を想像しなければなりません(もちろん、全部脱がせる必要は皆無ですが)。
この説をとる人は大方、四方田春海を最後に助けたのは牧野だとしているようです。
【結論】
まず宮田は故意に牧野を撃ちました。「殺すこともなかったのでは? 服だけ取っ替えればいいじゃん」と思われる人がいるかもしれませんが、宮田はそういう奴だということで勘弁してください。
次に牧野ですが・・・撃たれたものの死んではいないようです。ただ「人とは呼べない未完成の形で蘇った」らしく、「形を成さない肉塊」になったそうです(『異聞第五話』)。
◆四方田春海を助けた人影に関する問題◆
四方田春海3日目23:43:21で、最後にうっすらと見える人影が誰かということについて見解が分かれています。
この問題に対してはやはり『ファミ通PS2』の外山ディレクターの回答が手がかりになるでしょう。それによれば「物語の中で人の力を越えた力の素養を持ち、自分はこっちの世界に戻れず、そして春海を救いたいという結びつきを感じさせる人物」だそうです。
ということで、以下にそれに該当しそうな人物で、今までに出た見解を列挙します。
@須田説(通説)
須田は、美耶子の血によって普通の人とは違う力を得、なおかつ異界から抜け出せない。しかし、「春海を救いたいという結びつき」はないように思える。けれども、春海の持っていた美耶子のビーズ人形を見て、救おうとしたのではないかと考えることができるし、もしくは須田のスタンド(自縛霊?)である美耶子が須田に春海を救わせるようにしたのではないかと考えることもできます。個人的には後者の考えが妥当かと思われます。
A牧野説(有力説)
牧野は生きているとする人が取る見解。異界からの脱出は当然できない、求導師であるから春海を救うのは当然の行為であるという点で問題はありません。しかし問題は「人の力を越えた力の素養」を牧野は持っているのか? という点です。
そこで注目するのが外山ディレクターの回答で、ディレクターは(須田と安野以外の)「もうひとり(もうふたり?)もわずかながら血が混ざる機会があったので……」と言っています(『同上』)。この「もうひとり」が竹内であるのは明確ですが、気になるのは「(もうふたり?)」のうちの竹内ではない人物です。つまりこの説の支持者は、これは牧野ではないか、と考えていると思われます。そうすれば牧野も「人の力を越えた力の素養」を持つ人物に該当します。
そこでさらに問題となるのは「いつ竹内と牧野に、須田(もしくは安野)の血が混ざる機会があったのか?」という点です。ここで注目するのが三日目3:00竹内多聞の最初のムービー。これを見ると須田と竹内と牧野が、赤い水の水溜りに浸かっているのが分かるかと思います。つまり、この時点で須田の血が竹内と牧野の血と混じったと考えれば、牧野にも「人の力を越えた力の素養」を持つことができる、と考えることができるかと思います。
しかし、牧野と春海との間に「春海を救いたいという結びつき」というほどのものがあるのかというと、疑問です。
B安野説
宮田による須田の血の輸血のおかげで、安野は「人の力を越えた力の素養」は持っています。もちろん異界からの脱出もできません。ただし、「春海を救いたいという結びつき」は感じられません。村の部外者であるという点で、牧野よりもその「結びつき」は弱いと思われます。
となると、この説の頼みの綱は、例の「金属バット」ということになりましょうか。
C美耶子説
この説の場合、ディレクターの言う条件はすべて満たしています。ただし、美耶子はこの時点で既に死んでいます。この点に関しては須田説のところで述べたように、美耶子が須田に春海を救わせに行かせたのではないかと考えれば良いかと思います。須田が助けたと考えるのか、美耶子が助けたと考えるのかは個人の自由です。
【結論】
ずばり須田だそうです。というより美耶子に導かれた須田と言ったほうが正確でしょう。つまり須田&美耶子説です。堕辰子の首を落としてからジェノサイドに向かうまでの間に助けたのでしょう。
他にもいろいろな見解が出てきていたので、一応あげておきます。
・両親説
親子の愛が春海を救ったという見解。根拠はこのムービーが流れた後、両親死亡記事のアーカイブが手に入るということ。しかし人影が一つだということと、すでに春海の両親は死んでいることが難点。
・高遠説
穴に落ちた後、再び上がってきて春海を助けたという説。しかし落ちる→すぐ這い上がる→助けるというのがイメージしづらい上に、高遠は既に屍人となっているため春海を助けることはできません。
・八尾説
儀式がらみでなければ基本的に慈愛に満ちていて、村が存在する限りその存在は永遠であり、異界から脱出させるなんて行為が余裕でできる人はこの人しかいない、というのが論拠。
・宮田説
穴に落ちたらタイムスリップしてしまった宮田が、春海を助けたとする説。影の服が求導師っぽかったから出た見解かと思われる。しかしそんなことになったら完全に宮田が主人公になってしまうので社会的に問題がある。
・春海説
大人になった春海が幼少時代の自分を助けたというトンデモ説。
根拠はアーカイブの「人物」と「条件」の記述。アーカイブは「人物」がその「条件」を満たした時に手に入るものだという仮説の上で問題のシーンの後で手に入るアーカイブNo.098を見ると、「四方田春海」が「四方田春海を救う」ということになる。「SIREN2は大人になった春海が・・・」ということを言う人がいたので、SIREN2の伏線で人影を出したのでは?ということから出た見解と思われるが、そんな続編にはしないようですし、個人的にそんな続編はどうかと思います。
◆巡査 石田徹雄に関する問題◆
須田恭也を最初に襲った警官、石田徹雄がその時屍人だったか否かで見解が分かれている。
@半屍人説
文字通り、石田があの時すでに半屍人だったとする説。
根拠はいろいろ見られるが、あの笑い方が人間のものとは思えない、いきなり殺すのは屍人に決まっている、公式ムービーの「半屍人(男)」にて石田が紹介されている、などがあげられる。ただし、どうしてサイレンのなる前に半屍人になっているのかという問題が浮上する。
A人間説
これまた文字通り、石田はあの時まだ人間だったとする説で、須田に車で撥ねられてからサイレンの音に反応してはじめて、石田が半屍人になったとする見解。
根拠は、目から血が流れていない、まだなんとか人間語を喋っている、など。
B半半屍人説(折衷説?)
石田はまだ人間だったが、神代淳の言う「あっち側に行くのも時間の問題」状態だったとする説。
【結論】
『マニアックス』によれば石田はあの時すでに半屍人だったそうです。儀式の前日、現世にも赤い水の成分が交じった深夜に(夜勤中にもかかわらず)酒を飲んでいて赤い水の耐性が弱かった石田は、誰よりも早く半屍人になってしまったようです。
ゲーム本編などからひとつの結論を導き出すのは困難だったので「スタッフの手落ちではないか」との意見もありました。